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- 根管治療
根管治療とは
根管治療とは、歯の内側にある「根管」と呼ばれる部分に入った細菌を取り除く治療のことです。根管の中には歯髄(歯の神経)が通っています。むし歯が進行し根管に細菌が入り込むと、痛みや腫れを引き起こします。原因となる細菌を取り除き、そうした症状を鎮めるのが根管治療です。
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根管治療の方法
むし歯の進行が進むとむし歯の病巣部を削るだけでなく内側の神経のある部分(根管部分)の治療が必要になります。はじめに根管内の細菌に汚染された神経を取り除きます。根管内の形状は人によって異なるため、細心の注意を払いながら隅々まで細菌を取り除きます。根管内に細菌が残っているとそこから腫れや痛みが再発するリスクが生じるため、しっかりとした処置が必要です。次に、洗浄を終えてきれいになった根管の中に薬剤を詰めていきます。根管内に細菌が増殖しないよう隙間のないようにきっちりと詰めていくことが大切です。
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日本の保険治療での成功率は3〜5割
東京医科歯科大学の研究では、日本の保険治療の根管治療の成功率は30〜50%というデータが出ています。これは欧米諸国の成功率が80〜90%であることを考えるとかなり低い成功率となっています。日本の保険治療で根管治療を行なった約50〜70%の歯は再度根の先が感染を起こし歯茎が腫れたり痛みが出たりして、治療のやり直しや抜歯になってしまっていることになります。歯は何度も治療すればする程、削る量が増えて弱くなっていきます。そのため、特に根管治療は初回に出来る限り成功率の高い治療を行い、再治療が少ない治療法が求められます。
当院の根管治療の特徴
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01歯科用CTを使用した正確な診断
当院では、通常のレントゲン写真では発見が困難な神経の中の構造と病巣の広がりや大きさを正確に把握し、診断・治療を行うために、歯科用CTを治療に際して撮影します。低被曝・高解像度のドイツ製のCTを使用し撮影を行うことによって、複雑な神経の構造を立体的に把握することが可能になります。 -
02歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した精密根管治療
歯の神経の治療は、肉眼では見ることの出来ない歯の内部の治療になります。そこで当院では、肉眼の約20倍まで拡大して歯の内部構造を確認できる歯科用顕微鏡を導入しています。現在、日本ではマイクロスコープの普及率は約10%以下、実際の稼働率は約5%以下と言われていますが、アメリカの根管治療専門医では神経の治療の際には100%使用している必要不可欠なものとなっています。 -
03無菌的処置と再感染予防
根管治療後の再感染を予防するには、根管内の細菌を徹底的に除去し緊密に封鎖する必要があります。当院ではラバーダムというゴム製のシートを使用し、歯の内部に細菌が侵入することを予防します。また、ラバーダムにより治療中に使用する薬液から粘膜を保護したり、器具の誤嚥・誤飲を防ぐことが出来ます。 -
03MTAセメント(バイオセラミック系材料)の使用
根管治療により神経内部が無菌化されると、根管内部に神経に代わる材料を詰める根管充填が行われます。従来の材料や保険の材料では、根管充填を行なっても徐々に隙間が出来てしまい、再度感染を起こす事で腫れや痛みが出ることがあります。当院では治療後の再感染を予防するためにMTAセメントというバイオセラミック材料を使用します。MTAセメントの利点は・封鎖性に優れるMTAセメントは内部で膨張する性質を持っているため、神経内部を隙間なく詰めれ、再度感染することを防止できる・抗菌作用が強い強アルカリ性のため、殺菌作用がかなり強く内部で細菌の侵入を抑制してくれる・硬化すると硬くなるMTAセメントは硬化すると硬くなる性質があるため、強度が高くなる・生体適合性がよいMTAセメントは生体適合性がよいので、炎症症状を起こすことなく治癒を促進してくれる・親水性が高い歯の内部の象牙質には多くの水分を含まれており、従来の薬剤ではこの水分により材料の劣化が生じてしまうが、MTAセメントは親水性のため材料の劣化を起こしにくいなどがあります。当院では神経の治療後も細菌の増殖を抑え、封鎖性・生体親和性の良い材料を用いることによって再感染の予防に努めます。
精密根管治療の流れ
初めて来院される方・カウンセリング
初めて来院された方や精密根管治療を希望される方には、まず現在の口の中の悩み、不安、希望などを詳しくお聞きします。当院では完全個室となっておりますので、別の患者様にお話を聞かれることがないように配慮しています。
精密検査(レントゲン・CT撮影)
各種検査結果と患者様の希望・歯の状態に基づいて、精密根管治療計画を立案していきます。
カリエス除去・隔壁作製
当該歯牙のカリエス(むし歯)を歯科用顕微鏡を使用し完全にむし歯を除去します。その後、隔壁(詰め物に使用するプラスチック材料で歯の周囲に壁を作ります)を作製します。隔壁の役割は精密根管治療中に周りから最近が侵入するのを防ぐ役割をしてくれます。
ラバーダム防湿下で神経内部の感染物質を除去
ラバーダムを使用して口腔内の細菌が入らない環境を作ってから、神経内部の感染源を除去していきます。
根管充填
感染源を完全に除去したのち、細菌が再度根管内部に侵入するのを防ぐために根管充填を行います。根管充填にはMTAセメントを使用します。
コア・クラウン(被せ)作製
根管治療した歯にクラウンを作製していきます。最終的なクラウンはセラミックの方が辺縁封鎖性がよいため、長期的に細菌が侵入しにくい環境となります。
治療の成功率は?
精密根管治療中の成功率は神経の治療を行っているかいないかで成功率が変わってきます。神経の治療を一度も行っていない歯の成功率は根の先の病巣がない場合90%、病巣がある場合80%と言われています。一方、すでに神経の治療を行なっている歯の精密根管治療の成功率は70〜80%です。ただ、歯によっては根の先が治療により破壊されていたり病巣がかなり大きい場合があるので、その際には成功率が低くなります。精密根管治療でも、残念ながら治癒しなかった場合には歯科用顕微鏡下での外科的歯内療法や意図的再植などの外科処置で対応する場合があります。
治療中に痛みはありますか?
根管治療中は麻酔を行いますので、基本的に痛みはありません。ただ、痛みがひどい状態で来院された患者様や麻酔が効きにくい体質の患者様は治療中も痛みが出ることがあります。
神経内部の治療を行うので神経内部が過敏になるために、治療後2、3日から長い方で1週間程度少しうずくような痛みが出る場合があります。そのような場合には鎮痛薬で対応します。
神経の治療のみ保険外にすることは可能ですか?
神経の治療のみ保険外治療を行うことは可能です。しかし、根管治療後の補綴(被せ物・詰め物)の精度が影響する論文があります。*1 この論文では根管治療と補綴の精度によって予後の判定を行なっているのですが、一番予後が悪いのは補綴・根管治療ともに悪いもの、一番予後が良いのは補綴・根管治療ともに良いものです。ここで注目すべきは根管治療の質に関わらず補綴の精度が高いものの方が予後が良く、精度が低いものは予後が悪いという結果になっています。つまり根管治療が精密に行われても補綴の精度が低いと、長持ちする治療にはならないということです。
*1 Tronstad L et,al Influence of coronal restorations in the periapical health of endodontically treated teeth Endod Dent Traumatol. 2000 Oct;16(5) 218-21
歯の神経から改善したい方はぜひ当院へ
表面だけを治療するのではなく、歯の神経からしっかり改善したいという方は、ぜひ当院へご来院ください。当院では、顕微鏡を使用した精密な根管治療で大切な歯を守ります。