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50代からの矯正治療

2025.03.30

姫路市今宿の歯科医院 ひめじオリビエ歯科クリニックの松本です。


今回は、50代の女性患者様が歯のぐらつきを主訴に来院され、1年半にわたる全顎的なワイヤー矯正治療でそのお悩みを改善した症例をご紹介します。50代からでも矯正治療は決して遅くありません歯や歯ぐきの健康状態が整っていれば、年齢に関係なく歯並びの改善が可能です。実際、見た目だけでなく噛み合わせや口腔内の健康も向上しました。それでは、治療の経過を詳しく見ていきましょう。

患者様のご相談内容: 歯のぐらつきにお悩みの50代女性

A様(50代・女性)は、最近になって前歯や奥歯の歯のぐらつきを強く感じるようになり、不安を抱えて当院に来院されました。特に硬いものを噛むと歯が動くような感覚があり、「このままでは歯が抜けてしまうのでは」と心配されていました。また、「もう50代ですし、今さら矯正治療なんて無理でしょうか」と年齢的な不安もお持ちでした。しかし、歯のぐらつきを根本から改善し、将来も自分の歯でしっかり噛めるようにしたいという強い思いから、思い切って矯正治療を受ける決心をされています。私たちも患者様の不安に寄り添い、丁寧にカウンセリングを行いました。

治療計画: 全顎矯正(ワイヤー矯正)による噛み合わせ改善

精密検査の結果、A様の歯のぐらつきは歯周病による歯ぐき・骨のダメージ噛み合わせのずれが複合したことが原因と分かりました。まず矯正装置を装着する前に、虫歯の治療や歯石除去などの歯周基本治療を行い、歯ぐきの炎症を抑えて口腔内を健康な状態に整えました。その上で、上下すべての歯にブラケットとワイヤーを装着する全顎的なワイヤー矯正治療を行うことにしました。全顎矯正によって歯並びと噛み合わせを根本から整え、各歯にかかる力のバランスを正常化することで、ぐらつきの解消を目指します。治療期間は約1年半を予定し、年齢や歯周組織への負担も考慮して無理のないペースで歯を移動させる計画としました。

治療方針の説明に対し、A様は「自分の歯を守るために頑張りたい」と前向きに治療を受け入れてくださいました。ワイヤー矯正は取り外しのできない装置ですが、その分歯の動きを細かくコントロールできるメリットがあります。A様の場合も、ワイヤー矯正でしっかりと全体の噛み合わせを改善していく方針となりました。

矯正治療の経過(1年半のワイヤー矯正)

矯正装置の装着後、月に1度のペースで調整を行いながら計画通り治療を進めました。A様は「装置を付けた直後から前より噛みやすくなった気がする」と驚いておられました。その後、歯の移動に合わせてワイヤーを段階的に太いものに交換し、歯列と噛み合わせを本格的に整えていきます。

調整のたびに多少の痛みや違和感が生じましたが、「思ったよりすぐ慣れて、矯正中であることを忘れる日もありました」とA様。矯正開始から数ヶ月ほどで見た目にも歯並びの変化が感じられ、治療開始から1年後には歯列全体の乱れがほぼ改善し、上下の噛み合わせも大きく改善しました。残りの半年間で細かな微調整を行い、約16ヶ月の矯正期間を経てブラケットとワイヤーを無事撤去しました。装置撤去後は、後戻りを防ぐため**リテーナー(保定装置)**で歯並びを安定させる保定期間に移行しています。

治療前後の変化(ビフォー・アフター)

治療前A様の治療前のお口の中では、上の前歯にわずかなガタつきと隙間、前歯か噛んでいないオープンバイトの状態が見られ、奥歯の噛み合わせもうまく噛み合っていない状態でした。また、長年の歯周病の影響で歯ぐきが下がり、数本の歯に**動揺(ぐらつき)**が確認できました。見た目以上に機能面で不安が大きく、硬い食べ物を噛むときには痛みや恐怖を感じておられました。

治療後:矯正治療終了後のお口の中では、歯並びが整い上下の歯がしっかりと正しい位置で咬み合わさっています。気にされていた前歯のがたつきもなくなり、歯列全体が美しいアーチを描くようになりました。見た目の印象も大きく変わり、口元に自信が持てるようになっただけでなく、噛む機能や口腔内の衛生状態も向上しました。実際に歯並びが良くなったことで歯磨きがしやすくなり、矯正前に比べて歯ぐきの状態も安定しています。

50代から矯正治療を始めるポイント

近年、大人になってから矯正治療を始める患者様は増えており、40代・50代はもちろん、60代以上でスタートされる方も珍しくありません。50代だからといってあきらめる必要はなく、むしろ適切な計画のもとで矯正を行えば口腔の健康寿命を延ばすことにもつながります。ここでは、50代以降で矯正治療を検討している方へのポイントをいくつかご紹介します。

  • 年齢は問題になりません: 矯正治療には基本的に年齢制限はなく、歯と歯ぐきが健康であれば何歳からでも治療を始めることができます。実際に中高年から矯正を始める方は増えており、「いつまでも自分の歯で食事を楽しみたい」「口元を若々しく保ちたい」という思いで来院される50代の患者様も多くいらっしゃいます。
  • 治療前にお口の健康チェックを: 中高年の方は若い方に比べて、過去のむし歯治療跡や歯周病のリスクを抱えている場合が少なくありません。矯正を開始する前に、虫歯の有無や歯周病の治療など口腔内のトラブルをしっかりケアしておくことが大切です。歯ぐきの状態を安定させてから矯正を行うことで、安全かつ効果的に歯を動かすことができます。
  • 若い頃との違い: ゆっくり確実に進める: 矯正治療自体は年齢に関係なく効果が得られますが、歯の動き方や骨の治り方は加齢とともに若干ゆっくりになります。そのため、10代や20代の頃に比べて治療期間が長くなる傾向があります。しかし、これは裏を返せばゆっくりと確実に進められるということであり、無理なく計画通りに進めれば問題ありません。本症例のA様も計画通り1年半で治療を終えられました。
  • 矯正治療のメリット: 見た目が美しくなることはもちろん、噛み合わせの改善による全身の健康向上や、歯並びが整うことによるお口の清掃性の向上など、多くのメリットがあります。しっかり噛めるようになると食事を楽しめるだけでなく消化も助け、発音が明瞭になるケースもあります。さらに「歯並びが良い」という自信が持てることで笑顔が増え、表情が明るくなるなどアンチエイジング効果も期待できます。
  • 治療後のケアも重要: 矯正装置を外した後は、綺麗になった歯並びを維持するための**保定(リテーナー)**と、定期的な検診・クリーニングが不可欠です。特に50代以降の方は歯周組織のケアがより重要になるため、定期検診で歯ぐきのチェックを受けながら、せっかく整えた歯並びを長く維持していきましょう。当院では治療後のフォローも丁寧に行っていますので、ご安心ください。

まとめ

50代女性A様の症例では、**全顎矯正(ワイヤー矯正)**によって歯のぐらつきというお悩みを見事に改善することができました。年齢を重ねてからの矯正治療には不安がつきものですが、適切な準備と計画のもとで治療を行えば、歯の機能回復と審美性向上の両面で大きな効果が得られます。A様も「もっと早くやれば良かった」と感じられるほど、矯正治療の結果にご満足いただけました。

当院では、お子様から50代以上の大人の方まで、幅広い年代の矯正治療に対応しております。矯正治療の詳細については、当院ホームページ内の「矯正治療」専用ページをご覧ください。 矯正治療をご検討中の方は、お気軽に当院までご相談ください。一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせて、最適な治療プランをご提案いたします。


院長

松本 憲一
ひめじオリビエ歯科クリニック院長の松本と申します。当院ではインプラント治療、審美セラミック治療、精密根管治療に力を入れており、なるべく患者様に負担が少なく長持ちする治療を心がけています。こちらのブログでは当院で治療を行った治療例を記載させていただいていますので参考にしていただければと思います。
歯のことでお困りの方は気軽に当院にご相談ください。
  • 略歴
    • 国立岡山大学歯科部歯学科卒業
    • 姫路赤十字病院 研修医修了
    • 岡山大学大学院歯薬学総合研究科 博士課程修了
  • 所属学会・資格
    • 日本口腔外科学会 認定医
    • 日本インプラント学会 会員
    • インビザライン 認定医
    • ヨーロッパインプラント学会(EAO) 会員

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